北風に千鳥格子

なりゆきで始まった超私的ブログ。更新凍結。近日ネットの藻屑と消えます

Friday, March 03, 2006

すべてが1/fに(以下略)。

ココナッツサブレはマジでアレですね、若者風に言うとヤッベ!これマジヤッベ!とまんねえ!ですね、ojiです。

研究室に入ってきた新四年生に「研究が始まるまでに、どんな本を読んだらいいですかね?」とか聞かれました。

まー僕のいる研究室は手広くやっているので、特に「これっ!」っていう参考書がないのは確か。とりあえず統計力学っぽい手法を紹介している啓蒙書や新書なんかをススメとこうか、なんて思って、自分でも昔に読んだ武者利光センセイの「揺らぎの世界」をまた開いてみました。

久しぶりに読んでもやっぱり面白い。内容もそうだけど、武者さんの文章が適度に砕けていて読みやすくてよい。ぺらぺら眺めていたらちょっと面白いトピックを発見したので書き留めておこうと思います。いろいろな絵画の色調の変化に対するパワースペクトルを取ると、その関数は周波数の-2乗から-1乗の間に入るらしいのです。-1乗はいわゆる「1/fゆらぎ」って言うアレですよ。

「パワースペクトルをとる」ってのは、ここでは色調の変化の距離に関する相関をフーリエ変換すること。相関が長く続くほうが、パワースペクトルは周波数が大きくなるほど急に減少するようになる。で、この操作を距離と色調の相関についてやってみたという。写真だとか、写実的な絵、ラフなデッサン、一番単純な絵として「がんばれタブチくん」のヤスダの絵。タブチでなくヤスダというところに武者さんの微妙なセンスを感じるが。

その結果、パワースペクトルは写実的な絵のほうが周波数の-2乗で減少して、単純になるほど緩やかになってヤスダの絵で-1乗に比例するようになったんだって。へー。いしいひさいち氏の、あんな線画というか単純なまんがでも、相関関数をとったらちゃんと何らかの秩序が出てくるところに驚き。逆に何か統計的性質が見える絵だったら、どんなに単純な線で構成されてても、ヒトが見てただの線以外のなにかを感じる絵(「これは人の絵だ、ヤスダの絵だ」とか)ということになるのか?

じゃあこれを利用して、パワースペクトル1/fの自己相関をするように乱数に重みをかけてドットを適当に紙に打ったりするとなんか意味があるっぽい絵になるってことですかね?意味がある絵のよーに認識しようと脳が働くってことですかね?抽象画ってことで儲かりませんかね?

ここまで書いて「それってマンデルブロさんとかがとっくにやってんじゃん」とか思った。チッ。

さらに読んでいくと、この「1/f」っていうのは人間に深く関わっているようなんであった。片足立ちの体のゆれも1/fなら心拍数のゆらぎも1/fだし、音楽でも心地よい音楽というのは1/f揺らぎらしい。周波数-2乗に比例する音楽だと相関がありすぎる=音の変化が緩やか=退屈、で、-1乗以下だと音の変化がランダムすぎてよくわからん、ということになるということですな。

「秩序」も「混沌」もO月研が良く扱う「その間のよくわからんもの」も元はといえばすべて人の認識、思考、論理といったものが生み出している(のだ、と思う多分)。で、その人間の認識における秩序と混沌の境目、エッヂ・オブ・カオスはどこかというと「1/f」というところに秘密がありそうなんだなあ、とか思った。人間は自分の生きている1/fに揺らぐ世界を基準として、秩序とそうでないものを判断するってことを無意識にやってんじゃないか、とか。

もっと研究すれば1/fでいろいろ儲けられそうなのになあ。僕の知る限り「1/f揺らぎ扇風機」くらいしか商品化の例はありません。

新人アーティスト「プロデューサ、曲書いてきました!」
プロデューサ「ん、そう。さっそくパワースペクトルとって見ようか」
・・・・
プロデューサ「むう、指数-0.85か。微妙だな。最近の流行はどうやら-1.1~-1.3ということになってるしなあ、もっとなんとかならんのかい」
アーティスト「曲書いてるときはスペクトルなんてわかんねーよ!!」

とかなあ。妄想でした。

2 Comments:

  • At March 04, 2006 12:55 am, Anonymous wako said…

    いやあ、素晴らしい。
    一見関係なく見えるものが、ある視点で見ると統一的に解釈できるというのは自然科学の醍醐味だよね。その本。昔拾い読みしたことあるけど、もう一回ちゃんと読んでみようかな。純粋に「ほうほうなるほど」と思って読んでいたら、急に下世話な話になってずっこけた。

    「色調の変化の自己相関」ってのがよくわからなかった。気が向いたら解説よろ。

     
  • At March 04, 2006 12:31 pm, Blogger oji said…

    文字で書いても分かりにくいかな、と思いつつ。

    まー具体的にどんな測定をしたかまでは書いてなかったんですが、距離と色の濃さの変化の相関を定量化したんではないかと。

    グラデーションみたいに緩やかに変化する色の絵なら距離と相関はあるってことになるけど、線画みたいに濃さが急に変化するときには距離に対する相関は少ないですな。

    座標xの色の濃さをD(x),距離rに関する相関関数をC(r)と置くと、
    C(r) = <D(x)D(x+r)>
    であらわされます。
    <>はこの平均をとる、つー意味です。

    距離に限らず、時間とかでもこういう考え方をすることはあるわけで、そーいうのを一般に「自己相関関数」と呼んでいるようです。

    今回は記事もコメントもいつもと違う意味で読み手を無視した感じですね。

     

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