北風に千鳥格子

なりゆきで始まった超私的ブログ。更新凍結。近日ネットの藻屑と消えます

Tuesday, December 29, 2009

15x24をススメていく運動。

久しぶりに書くともうあいさつも思いつきません。ojiです。

集英社スーパーダッシュ文庫「15x24」が面白い。最初に手にとった動機も上手く説明できないのだけど・・

作者の新城カズマは「サマー/タイム/トラベラー」だけ読んだことがあって、まあ面白かったけど著作全部を追っかけるほどではない、というのが当時の印象。もともと鶴田謙二のジャケ買いだったし。手に取ってしまったのはいつもの気まぐれ・偶然・動物的嗅覚のなせるわざ(はずれも多し)と言ったところでありましょうか。

・・ところがこれが「大当たり」だったのです。たぶん2009年に手に取った小説で一番かも知れん。久しぶりにページをめくるのが止まらない感覚を味わいました。

あらすじはといえば、まず高校生の少年・徳永準が、大晦日の日にネットで知り合った「17」とともに自殺することを決意します。当日の朝、ごく一部の友人にのみ決行の直前に送るつもりで遺書メールをしたためたのだけど、このケータイが盗難に遭い遺書(書きかけ)は自殺を前に流出。あれよあれよと広まって、徳永準の自殺を止めようとする「捜索隊」が結成されてしまう。彼をめぐって新宿から始まる追いかけっこはトラブルを次から次へと呼び込んで、最終的には東京中を巻き込む大騒動になってしまう。大晦日から元旦にかけての長い長い「15人の24時間」の物語・・といった感じ。

物語の中で複数視点が同時進行する「ザッピングもの」(命名:僕)です。「一つの目的で集まった人間たちがそれぞれの動機で動く様子を描く」って感じなんですが、これがいい。みんな好きに動きやがって、まとまりそうでまとまらない、追い詰められそうで追い詰められずにまた来週。突然起きる超展開、アイツにとっては予測不能でもコイツにとっては「計画通り(with夜上月スマイル)」だったりして。

基本サスペンスっぽい話なのですが、話が進むとミステリ性を帯びてきます。すなわち、「17」は本当にネット心中しようとしているのか?実は「捜索隊」の中にいるのではないか?「17」の本来の目的は、なんなのか?

12月25日に完結巻が出たものの、実はまだ読んでません。一気に読むより、これまでの経緯を整理しながら進めるのがより面白いんではないか、と思い始めたから。色々メモしながら読み進めてるんでその中から一巻まで読んだときの各キャラの印象を思い出したメモをさらして本の紹介にしましょうかと。

徳永準:すべての発端。根暗。「絶対に逃げられず、一生続く苦しみ」に気づいてしまったらしい。姉が二人。家族は明るい。

笹浦耕:一応本編の主人公。いい奴。自殺については「死ぬよりも苦しい絶望を前にした奴の自殺を止める権利はない」と考えてる。でも「捜索隊」に参加するのは、徳永準を止めないと女子大生の彼女とデートできないから。軽いなあ。

枯野透:お人よし。自殺を止めるのは「まだ生きる可能性を一緒に考えてやりたい」という思いから。とはいえコイツを見てると単純な正義感が先に動いてるという気もする。そんな奴。

渡部亜希穂:ギャル。いまどきの若者。枯野のイケメンぶりにやられて「捜索隊」に参加。それ以上語るべきこともなし。

私市陶子:お嬢様口調。妊娠中。徳永の死を見過ごしては、生まれてくる子供に顔向けできないと考えての「捜索隊」参加。ちょっと自分の正義に酔ってるふしはある。頑固そう。

左右田正義:自信過剰。紋切り型。「捜索隊」企画者。完全に名誉欲のために徳永を探す。頭の回転は早いが、目先のことしか考えてない。

在所惟信:お坊ちゃん。正真正銘良家の金持ち。女好き。優柔不断。彼が左右田に相談したことから「捜索隊」が発足、後は引っ張られるように参加。

伊隅賢治:根暗2号。特技はハッキング。「死」が見たいという理由で徳永を探す。つまりは「捜索隊」にあって自殺推進派。徳永を自殺させその現場に立ち合うため、なんとかして周りを出し抜こうと考える。

三橋翔太:野性と本能で東京のアンダーグラウンドを生き抜いてきた男。学はまったくないので、彼が一人称でしゃべるときはほとんど平仮名になる。独自の人生観を持ち、徳永の自殺予告に関わることに運命的なものを感じている。

西満里衣:車椅子の少女。障害者である自身の成長の過程で多くの「望まない死」を見てきたことから、自殺を絶対的な悪と考える。自分を「万能検索者」であるとか思ってるけど、PCスキルは並(クラックとかはしてないみたい)。

オサリバン・愛:グラビアアイドルだけど口調はちゃきちゃきの江戸っ子という変な子。江戸っ子なので難しいことは考えない。単純に自殺はいかんから止めよう考えている。

温井川聖美:背の高い少女。徳永からの予告メールを受け取ったものの、「捜索隊」未参加。強烈な劣等感にさいなまれている。

藤堂真澄:新宿「自警団」のリーダ。代々天皇崇拝・最右翼の思想を持つ家の子。自身もその思想を受け継いでいる。

一巻では以上の13人が出てきます。つまり、まだあと2人参加者が増えるということですね。多いなあ。でも、それだけキャラクタの振れ幅が激しいのであまりごっちゃになったりはしていません。それも魅力の一つですかね。